恋と、キスと、煙草の香り。
それからは不定期に連絡をして環に会っては、ホテルで抱き合った。
本当はもっと会いたいが、彼女の仕事が終わる時間には店に出勤しなければならないので、なかなか決まった日に会えず、仕事合間に携帯を見ると彼女からの不在着信が表示されていた。
店の勤務時間が終わると、まだ彼女が寝ている時間で連絡もできず、家に着いたら疲れて寝入ってしまう。
すれ違うことが多いが、俺は会えるだけで幸せだった。
環と会う日々が続いて、3ヶ月が経ったとき。
いつものようにホテル前で別れ、環に背を向けたときだった。
『あらた…っ!』
環の声が聞こえて振り返ると、彼女が勢い良く俺の胸に飛び込んでくる。
『環?どうした』
彼女は今にも泣きそうな表情で俺を見る。
俺の問いかけに彼女は少し溜めてから言う。
『あらた…私、新のことが好きよ』
彼女は涙を溜めて俺にそう言った。
環が俺を好き?
いまそう言ったよな?
『新にとって私が…遊びでも、私は…わたしは…っ…』
彼女は大粒の涙を流して、何度も何度も手で拭う。
え、遊び?
そんな風に思われていたのか?
あんまり連絡とれなくて、すれ違ってたから不安にさせてしまったのか?
『たまき…』
環が俺のことを好きだと言って泣いている。
環は不安で仕方なかったはずなのに、俺はどうしても嬉しさを抑えきれない。
『ごめんなさい…っ!でも好きだから…知っててほしかったの。迷惑…よね』
迷惑なわけないだろ。
両想いだと知ったいま俺はもう、何も迷わなくていいんだよな。