恋と、キスと、煙草の香り。
『ごめ…ん、忘れ…』

『何で迷惑なんだよ』

彼女の言葉を遮り、強めの口調で言う。

『…え?』

『いつ俺が環のこと、遊びだって言ったんだよ』

こんなに何度も会って、抱き合って。
なのにこんな大事なことを言っていなかったなんて、今更気づいた。

『そうか…俺、まだ環に言ってなかったんだな』

『え?』

俺は彼女の両肩を掴んで、深く息を吐く。
言葉にするって、こんなに緊張するんだな。

『環のこと、遊びだなんて思ったことねーから』

もう一度深く息をはき、自分を落ち着かせてから意を決して言う。

『俺…環と初めて抱き合った夜から、すでに付き合ってると思い込んでた。わりい…俺ちゃんと言葉で言ってなかったんだよな。今更気づいた』

『それって…』

俺は一度目を逸らしたあと、再び彼女の方へ向き直る。

『俺も環が好きだ』
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