甘いキミの誘惑
「さっきのあーちゃん不審者みたいやったで」
「えっ嘘!」
「ほんまほんま。靴箱とずーっとにらめっこしとったもん」
み、見られてた…。
恥ずかしがる私をよそに、けらけらと笑うみよっちゃん。ちょっと笑いすぎじゃない?
それに、今は放課後で今日は部活もなくて、人っ子1人いないと思ってたのに…。
「みよっちゃんは何してたの?」
「うちは先生のお手伝い。頼まれててんけどちょっと遅なってん」
「そっかー。今日みよっちゃん日直だもんね」
「そうそう。って、そんなんいいねん!」
さすが大阪本場のノリツッコミはキレがするどい。
みよっちゃんは将来優秀なツッコミ漫才師になれそうだなあ。
つい想像してにやけている私に、感の鋭いみよっちゃんは私の頬を掴み、
「ろくでもない妄想せんの」
「へへ…ばれひゃっら…」
誤魔化し笑いをする私をみてみよっちゃんは「もう、しゃーないなあ」といって許してくれる。
しかし、話は忘れないしっかりした子。
「その白い封筒、田中に渡すん?」
「えっ、」
みよっちゃんはエスパーか探偵なの?って聞きたくなるくらい全部見抜かれていた。
みよっちゃんには隠し事できない。
正直に話すしかない。