【完】たばこ
でもカップルかあ……。


ふと、翼が頭によぎった。
干渉し合うのはあまり好きじゃないけど。
でも、翼はきっと断らないだろう。
だって、翼だもの。


余裕の笑みを浮かべた私は、鼻歌交じりで家までの道を歩いた。




「このストラップほしいからついてきてほしいんだけど。」


駅前で仕入れた展覧会のポスターを翼につきだす。


次の日のお昼休み。
いつものように私たちは同じ時間を共有していた。
私の声にこちらを見た翼は。
ポスターを受け取ってしばらく見つめた後。


「別にいいけど。」


そう呟いた。

ほら、翼は断らない。
私は心の中で笑みを浮かべた。


「日曜午前11時に駅で。」


「ああ。」


デートに誘うの楽勝そう?
当たり前でしょ。
私が翼に断られるわけないんだから。
口に出さなくても分かる関係なんだもの。


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