【完】たばこ
学校生活がつまらなくて。
何か刺激的な非日常がほしくて。
立ち入り禁止の屋上までやってきた。
ドアノブをひねれば鍵が開いていて。
その瞬間心が跳ねた。
求めてた非日常への扉。
そのイケない事をする快感に足を踏み出すと。
そのエリアには先客が一人いた。
人いるじゃん。
それだけで私の浮きだった心は沈んだ。
そいつは私を一瞥しただけで。
また視線を逸らした。
干渉しないってわけね。
そのスタイル嫌いじゃない。
少し沈んだ心が浮上した。
特に嫌悪感を醸し出されたりしなかったから。
私も屋上に足を踏み入れた。
そいつは私にバレてもかまわないのか。
たばこをくわえたまま外を眺めていた。
喫煙者かよ。しかも未成年。
学校で堂々と。
見た感じ初めてじゃなさそうだし。
このエリア、最初に見つけたやつなのかも。
内履きは私と同じ色。
つまり一緒な学年。
見たことは、ない。
でもこんなにカッコイイ人いたら気付くはずなんだけど。