プワソンダヴリル〜甘い嘘は愛する君だけに〜
以前からオーナーを務めていたあのカフェで、父の友人である店長が萌花をかなり可愛がっていることは知っていた。だから最初は単純にいい子なのだろうくらいにしか思っていなかったのだけれど。
気が付いたら、カフェを訪れる度に彼女を探している自分がいた。
一生懸命で、誰に対しても心からの笑顔で接客をする彼女。
そんな彼女を見ているうちに、彼女目当てでカフェに通っている客も何人かいることがわかった。
萌花と同じ名前の『モカ』。
それをオーダーする度に彼女がはにかんだように笑うのが嬉しくて、その顔が見たくて。
あわよくば俺の存在が彼女の中に少しでも残ればいいのに…なんて期待までして、彼女が店にいる日に俺は決まってカフェモカを頼むようになったのだ。
今日は4月1日…エイプリルフール。
だから、今日だけはこんな小さな嘘も許されるだろうか。
もう少し…萌花とまだ客と店員の関係だった頃、彼女の気を引きたくて新店舗として建設し始めた君と同じ名前のカフェが完成するまでの間だけ。
それまでは…まだ秘密。
―――
「なんでうちへのデリバリーはブラックだって言ったんですかーって、昨日詠介くんに怒られちゃいました」
「ははは、ごめんね生意気な息子で」
「まぁ私の大切な真崎ちゃんを大事にしてくれてるってことなんだなって思ったら、逆に笑っちゃったんですけどね」
「男はいくつになってもそんなもんだよな、あっはっは」
そんな会話が常連客のおじいちゃん…もといマキアートが入っているビルの最上階に位置する大手会社の会長であり詠介の父親と、マキアートの店長との間で繰り広げられていたことは、萌花も詠介も知らない。
Fin
気が付いたら、カフェを訪れる度に彼女を探している自分がいた。
一生懸命で、誰に対しても心からの笑顔で接客をする彼女。
そんな彼女を見ているうちに、彼女目当てでカフェに通っている客も何人かいることがわかった。
萌花と同じ名前の『モカ』。
それをオーダーする度に彼女がはにかんだように笑うのが嬉しくて、その顔が見たくて。
あわよくば俺の存在が彼女の中に少しでも残ればいいのに…なんて期待までして、彼女が店にいる日に俺は決まってカフェモカを頼むようになったのだ。
今日は4月1日…エイプリルフール。
だから、今日だけはこんな小さな嘘も許されるだろうか。
もう少し…萌花とまだ客と店員の関係だった頃、彼女の気を引きたくて新店舗として建設し始めた君と同じ名前のカフェが完成するまでの間だけ。
それまでは…まだ秘密。
―――
「なんでうちへのデリバリーはブラックだって言ったんですかーって、昨日詠介くんに怒られちゃいました」
「ははは、ごめんね生意気な息子で」
「まぁ私の大切な真崎ちゃんを大事にしてくれてるってことなんだなって思ったら、逆に笑っちゃったんですけどね」
「男はいくつになってもそんなもんだよな、あっはっは」
そんな会話が常連客のおじいちゃん…もといマキアートが入っているビルの最上階に位置する大手会社の会長であり詠介の父親と、マキアートの店長との間で繰り広げられていたことは、萌花も詠介も知らない。
Fin