プワソンダヴリル〜甘い嘘は愛する君だけに〜
「小田切宏弥~」
家のチャイムが鳴ってすぐに、扉ごしに俺の名前を呼ぶ声が聞こえてくる。
…もう夜の11時なんだけど。
小さくため息をついてからゆっくりと玄関のドアを開けると、もうすでにほろ酔い状態の佐伯凛子が顔を出した。
手には缶ビールが2つしっかりと握られている。
「お前なぁ…明日朝から社長と入社式出るんじゃなかったっけ?」
「んーそうだけど…1杯だけ!」
同僚として明日の業務のことを気遣ったつもりでかけた言葉は、全く意味がなかったようで。
このまま放っておくのも近所迷惑なだけだと思い、とりあえず目の前の彼女を部屋の中に入れて扉を閉めた。
「お邪魔しまーす」
慣れた様子で玄関に上がった凛子が、自然な所作で自分の脱いだ靴を綺麗に並べる。
こんだけ酔っててもそういうところはちゃんとするところは、まあこいつの好感が持てるところだと思う。
適当に冷蔵庫の中からつまみを取り出して用意していると、いつものようにソファの前に座った凛子が俺が行くのも待たずにプシュッと缶ビールを開けた。
一口だけ喉に流し込んでから顔だけこちらに向けた彼女が「早く」と俺を急かす。
お前のために用意してるんだからちょっとぐらい待てよ…と内心思いながらも、「今行く」とだけ返事をしてつまみを入れた皿を持ち凛子の元へ向かった。
「はい、小田切宏弥っ」
「おお、さんきゅ」
つまみと引き換えに俺の分の缶ビールを受け取って、ソファの上に座る。
なんで今日はフルネームなんだろうかとか一瞬考えたけれど、ただの酔っぱらいの気分でしかないのだろうなと思い、それ以上考えることはやめた。
家のチャイムが鳴ってすぐに、扉ごしに俺の名前を呼ぶ声が聞こえてくる。
…もう夜の11時なんだけど。
小さくため息をついてからゆっくりと玄関のドアを開けると、もうすでにほろ酔い状態の佐伯凛子が顔を出した。
手には缶ビールが2つしっかりと握られている。
「お前なぁ…明日朝から社長と入社式出るんじゃなかったっけ?」
「んーそうだけど…1杯だけ!」
同僚として明日の業務のことを気遣ったつもりでかけた言葉は、全く意味がなかったようで。
このまま放っておくのも近所迷惑なだけだと思い、とりあえず目の前の彼女を部屋の中に入れて扉を閉めた。
「お邪魔しまーす」
慣れた様子で玄関に上がった凛子が、自然な所作で自分の脱いだ靴を綺麗に並べる。
こんだけ酔っててもそういうところはちゃんとするところは、まあこいつの好感が持てるところだと思う。
適当に冷蔵庫の中からつまみを取り出して用意していると、いつものようにソファの前に座った凛子が俺が行くのも待たずにプシュッと缶ビールを開けた。
一口だけ喉に流し込んでから顔だけこちらに向けた彼女が「早く」と俺を急かす。
お前のために用意してるんだからちょっとぐらい待てよ…と内心思いながらも、「今行く」とだけ返事をしてつまみを入れた皿を持ち凛子の元へ向かった。
「はい、小田切宏弥っ」
「おお、さんきゅ」
つまみと引き換えに俺の分の缶ビールを受け取って、ソファの上に座る。
なんで今日はフルネームなんだろうかとか一瞬考えたけれど、ただの酔っぱらいの気分でしかないのだろうなと思い、それ以上考えることはやめた。