【短】世界は君色に変わってく
世界は君色に変わってく
がたん、がたたん、
がたん、がたたん、
何本もの地下鉄線の走る、巨大な駅。
今は通学、通勤などで、通常以上に人がごった返している。
私、神咲英華(かんざきあきな)は、その最も地下にある地下鉄の出口をくぐり、いつも通り中央改札のあるフロアに向かった。
am:7:05
いつもこの瞬間が最高潮に、緊張する。
「ねね、アンナ、そろそろじゃない?」
待ち合わせの3分前に私の元へとやって来た、クラスメイトの葉山彩美(はやまあゆみ)が、私の肘の辺りを突く。
「ちょ、彩美、緊張するからやめてよ」
にやにやしてくる彩美に苦笑いの私。
そう…予想ではあと5分後に、私の緊張の素が現れるはずだった。
「お。おっはー!アンナ、今日も待ち伏せ?あんたも物好きだよねぇー」
ドキドキと、その瞬間を待っている私の背中を、そう言って後ろからパシパシと叩いてきたのは、同じ部活の金本千波(かねもとちなみ)先輩。
先輩はニヤニヤとした笑みを溢している。
「おはようございます!って、千波先輩まで!てか、待ち伏せって!!」
「あははっ!まぁまぁ、怒んない、怒んない。とりあえず、頑張んなよ。応援してるから」
先輩はそういうと、丁度先輩の元にやって来たイケメンな彼氏さんと手を繋いで、「じゃあねぇー」と去っていってしまう。