【短】世界は君色に変わってく
「おはよう」
先輩は、いつもはにかんだ笑顔で、そう返してくれた。
私の中で、どんどん膨らんでいく想い。
でも、朝一言の挨拶を交わす…それだけで、鼓動が弾けて倒れてしまいそうだったから…。
これで、いいんだ…そう、思ってた。
「もぉー!焦れったい!さっさと告白しちゃうなよ!めぐみくん今彼女いないんだよ?!」
そう、捲し立てるのは、千波先輩だ。
私と彼の間に立ってくれている先輩は度々そう言って、私を叱る。
「絶対アンナから言った方がいいって!」
「い、いや、でも、ほら、あの…!」
先輩の圧力に私は負けそうになる。
でも…告白なんて私にはとてもハードルが高くて…。
「アーンナ?いい?恋なんて自分から動かなきゃ、ちゃんと掴めないんだよ?」
「うう…」
先輩の言葉に唸り声を上げることしか出来なかった。