【短】世界は君色に変わってく
でも、転機は、突然訪れる。
それは、2年生だけのイベント…海外への修学旅行。
毎年、そこでは数々のラブロマンスが生まれるらしく、11月に入ってから学園中のそこかしこに落ち着かない空気が漂っていた。
「ねぇ?アンナ?そろそろさぁ?挨拶だけじゃなくて、少しは喋ってみればー?」
9月から始まった「朝のご挨拶」作戦から、早二ヶ月が過ぎても…なかなかそこから進展しない私の行動に、業を煮やした彩美が、お昼休みにお弁当箱をぱこん、と開けながらそう言う。
「うーん…でも…どんなこと話せばいいのか分かんないんだもん…」
私は、購買で入手したアロエドリンクの紙パックにストローを刺しながら、そう答えた。
「じゃあさ、もうすぐ先輩たち修学旅行じゃん?お土産買って来てとか、どう?」
「ええっ?!そ、そんなこと、言えるわけないじゃん!!」
「だってさー?アンナ、こうでしないとこのまま告白もしないで終わりそうなんだもん」
「そ、そうかなぁ…」
ちゅーっとストローから液体を飲み込んで、私は明後日の方を見た。