【短】世界は君色に変わってく
「そんなに緊張しないで、ほら、深呼吸!」
「ふ、ふーぅ…」
そんなことしながらも漸く封を切った私は、中に入った2枚の便せんに驚いた。
に、2枚?!
ど、どうしよう?!
私、1枚どころかメッセージくらいのことしか書いてないのに!!
「わー…めぐみ先輩って達筆…で?なんて書いてあんの?」
「えっ、と…」
もう、カァーっとなんて可愛いような感じではなく。
ぐあーっ!と限界まで赤くなった私は、便せんも持った方じゃない手で、頬を何度も撫でて、なんとか叫んでしまいそうな気持ちを抑え込む。
封筒とお揃いの便せんには、
「いつも、元気いっぱいの挨拶をしてくれてありがとう。神咲さんの声が聞けるのが、最近とても楽しみです…」
なんて、私にはどう考えても都合の良い言葉ばかりが綴らえていて。
最後の方に、
「修学旅行から帰ったら、二人でお話しませんか?」
と、書いてあった。
私は、なんて書いてあるんだと騒ぐ彩美を他所に、1番最後の「From:めぐみ」という所を指でなぞった。