【短】世界は君色に変わってく

「そんなに緊張しないで、ほら、深呼吸!」

「ふ、ふーぅ…」


そんなことしながらも漸く封を切った私は、中に入った2枚の便せんに驚いた。


に、2枚?!
ど、どうしよう?!
私、1枚どころかメッセージくらいのことしか書いてないのに!!


「わー…めぐみ先輩って達筆…で?なんて書いてあんの?」

「えっ、と…」


もう、カァーっとなんて可愛いような感じではなく。


ぐあーっ!と限界まで赤くなった私は、便せんも持った方じゃない手で、頬を何度も撫でて、なんとか叫んでしまいそうな気持ちを抑え込む。

封筒とお揃いの便せんには、


「いつも、元気いっぱいの挨拶をしてくれてありがとう。神咲さんの声が聞けるのが、最近とても楽しみです…」


なんて、私にはどう考えても都合の良い言葉ばかりが綴らえていて。

最後の方に、


「修学旅行から帰ったら、二人でお話しませんか?」


と、書いてあった。


私は、なんて書いてあるんだと騒ぐ彩美を他所に、1番最後の「From:めぐみ」という所を指でなぞった。

< 16 / 36 >

この作品をシェア

pagetop