【短】世界は君色に変わってく
「絶対に、脈ありじゃん!」
休み時間になり、先生が教室を後にしたのと同時くらいの早さで、彩美が私元にまたやって来ると、白状しろと言う風に話の先を急かすから、私は手紙の内容を掻い摘んで話した。
そうして、クラスメイトが思わずこっちを向くほど大きな声で、そう叫ぶ。
「マジ、勘弁。彩美は声大き過ぎるよ…。ほら蓮沼くんグループこっち見てるじゃん。この話ここでは止めよ?」
「あー…ごめん。じゃあ、放課後にでも」
「うん…その時は、ちゃんと話すから」
「オッケー!」
蓮沼くんグループというのは、先にも言ったけど、クラスで1番目立つ。
ピアスを開けたり、髪を染めたり…そんな数少ない女子たちがいつも蓮沼くんを囲んでいて、いわばハーレム状態。
…そんなに侍らかしても、良いことなんてあるのかな…。
私には、そういうのはイマイチ理解できなかった。
あんまり、目を付けらるのは嫌だった。
蓮沼くんと関わり合いを持つと、何か良くないことが起こりそうで…私は出来る限り彼を避けるようにしているんだけれど…最初のお誘いの断り方が特殊だったのか、どうも彼は私に対して他のことは違う接し方をしてくる。
「かーんざきさん!」
「…な、なぁに?蓮沼くん?」
「ううん。呼んでみただけー」
なんなんだろう…この人。
悪いけど、気分はよろしくない。
こうやって、他の男子と接する度に、先輩への想いは増していくようだった。