【短】世界は君色に変わってく
「うー…羨ましいなぁー」
そんな二人の後ろ姿を眺めて、呟くと彩美が呆れたように溜息を溢して私の後ろの方を指差してきた。
「そんな事言ってる間に、ほら、来たよ!」
その方向を見ると、私とは別の線でやってくる…彼…1つ年上の直江恵太(なおえけいた)先輩が、真っ直ぐに学園に通じる出口の階段へと歩いて行くのが見えた。
7:10
その時間ピッタリに、彼はいつもこの駅に到着する。
その正確さは、彼の真面目な部分をとてもよく表しているような気がした。
私は、つい最近…夏休みに入る頃から…彼の存在をがとても気になっている。
それが…今の行動に結びついていた。
先輩としての憧れ。
そして、尊敬と…言い様のない想い。
それが生まれたのは、あの日…。
お互いが「生徒会委員」と「文化祭実行委員」の代理として出会った、あの日…がきっかけだった。