【短】世界は君色に変わってく
私の知らない、先輩がまだまだいることは分かってる。
一つ年上で、クラスはCクラス。
あだ名はめぐみくんで、剣道部に所属していたけれど、怪我のせいで辞めてしまったらしいこと。
千波先輩から毎日少しずつ与えられる情報。
そして…私に毎朝向けられる…優しい笑顔。
それだけが、私の持っている先輩の全てだったから。
そこに、全く異なるビジョンは映し出せない…。
彩美やはなは、簡単に前に進めという。
でも、その方法は?
どうしたら、距離を縮められるの?
それより…私が踏み出したら、先輩はどうするんだろう?
誰か教えて欲しい。
私は、ふうっと溜息を吐く。
それは、まるで…私の不安定な心を映し出したような色をしている気がした。