【短】世界は君色に変わってく
また眠れぬ夜を過ごして…。
それでも私は定時に駅へと辿り着く。
と、そこには既に先輩の姿があり、少しだけ…焦る。
まだ、皆集合してないけど…これはチャンス、なのかな?
そう思ったら足が自然と動いていた。
でも。
何かがおかしい。
何故ならば…。
「おはよう、神咲さん。一緒に行ってもいい?」
「えっ!…あ、はい!!大丈夫です!!」
「そっか、ならよかった」
そう。
先輩はいつものように真っ直ぐには出口に向かわず、私のことをどうやら待っていてくれたらしかったんだ。
てくてく、てくてく
11月に入った外気温はかなり冷たい。
私は、コートの中に手を入れようか、でもそれはちょっと女の子として恥ずかしいような、そんな気持ちをぐるぐるさせながらも、先輩の横でチラチラと先輩を見やる。
「手紙、ありがとな」
「あ、いえ…こちらこそ2枚も書いて貰えて凄く嬉しかったです」
「それで、なんだけど…」
どことなく、弾んでいる、先輩の声。
私は、それにつられて、ぐいっと顔を上げて先輩の顔を見つめてしまった。
そして、間抜けた声を出す。
「はい?」