【短】世界は君色に変わってく
「…お土産。いる?」
「……?」
にっこり微笑む先輩に対して、言葉の意味が一瞬理解出来ずに、私は疑問符を抱いたまま黙り込んだ。
すると、先輩の顔が少しだけ落胆したように沈んだ。
「迷惑かな?」
「え?!…そ、そそそそ」
私は盛大の吃ってしまった。
恥ずかしい。
恥ずかしい。
恥ずかしい。
でも、次の先輩の声は、とても楽しげだった。
「そそそ?」
「……ほ、欲しい、です…」
ぷしゅーっと、頭から湯気が出るくらい赤くなった私を見て、先輩は満足げに微笑んでから、
「そ?じゃ、期待してて?」
と、言って来た。
なにがどうしたらこんなに都合よく話が進むんだろう?
もしかしてドッキリ?!
後から「大成功!」なんていう看板を持って、千波先輩出てこないよね?!
なんとなくむず痒くて、恐る恐る後ろを振り返るけれど、そこには私の知らない人しかいなかった。
「ん?どうかした?」
「いえ!なんでもないです!!」
「あははっ。神咲さんは元気だな」
先輩の声は相変わらず、テンション高めに弾んでいた。
あれ?
なんか、私の知ってる先輩像と、今日はなんだか違う。
でも、これが素なんだったら、それはかなり嬉しい、かも…。