【短】世界は君色に変わってく


「だ、だって…」

「…返事、貰える?」

「……う…あ…」

「うん?」

「よ、よろしく…おねがぃしま…す」

「ん。ありがとう」


恥ずかしくて縮こまる私に対して、スッと寄って来る先輩の影。


くしゃくしゃ


髪を撫でられて、片目を瞑る。


「じゃあ……ちょっと強引かもしんないけど、今日から宜しくな?」

「…は、はい」


先輩はどこまでも、優しい。
でも、なんだか夢を見てるみたいで…私は泣きそうになる。
そんな私の頭を撫でながら、先輩はウィンクを一つした。


「よし。…じゃあ、早速帰り一緒に帰ろうか。彼女さん?」

「せ、先輩、それ…絶対に楽しんでますよね?!」


現実は、なんて甘いんだろう。
その甘さが恥ずかしさに直結してしまうから、私はやっとの思いで抵抗するように反応した。
すると、先輩はもっと嬉しそうな顔になり、

「ははっ。そうこなくっちゃ。神咲さん…あ。あきな…んー…あきっ呼んでも良い?」


なんていう、爆弾を投下してくる。
私は、あまりの衝撃に、空いた口が塞がらない。

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