【短】世界は君色に変わってく


「な、なんっ?!」

「アンナ、も良いけど。俺は、他の奴とは違う呼び方がしたいから。だから、あき」


真っ直ぐに見つめられてしまえば、もう身動きも取れないくらいに囚われて…。
消え入るような声で、私は「ううう…」と唸ることしか出来なかった。


恋って、不思議。
なんてこんなにジェットコースターに乗っているみたいに、急展開になるんだろう?
頭がちっとも追い付かない。

だけれど、彩美もはなも、勿論千波先輩も…。
そして、先輩親友のポンタ…あ、いやいや…本多先輩までも、なんでかこうなることを知ってたようで…。


口々に、「ほらぁ、だから、言ったじゃん!大丈夫だって!」と祝福をされた。


いや。
待って?
私、「大丈夫」とか言われてないんだけど?!


そんな疑問もすっかり祝福モードな皆の中で置いてけぼりを食らう。


だから、まだ夢を見ているんだと、私は自分の頬を抓った。


「いた、」

「…なにしてんの?あき?」

「なんでもないです!」

< 33 / 36 >

この作品をシェア

pagetop