【短】世界は君色に変わってく
ねぇ?
先輩?
私は、こんなにも幸せで良いんでしょうか?
こんな風に、ぐうっと熱を上げて急激に膨らんで、私はすぐに萎んだりしないでしょうか?
私がこんな不安を胸に抱く度に、それを一つ残らず掬い取って…先輩は、きゅうっと私の手を握り締めた。
知らない、感情。
知らない、想い。
知らない、表情。
知らない、鼓動。
どれも、私には程遠いものだと思ってた。
だけど…。
「あーき。何考えてんの?」
スイッと覗き込まれる瞳に、やっぱり全身が、全心が、先輩に落ちてしまって…。
「先輩の、こと…」
それだけしか言えなかった。