【短】世界は君色に変わってく

不思議に思って小首を傾げる私に、はなはぺこぺこと頭を下げて、お願いと繰り返す。


「なんで?」


これでは、話が平行線になりそうだと思い理由を聞いてみる。

すると、はなは見る見る間に顔を真っ赤にさせて、俯いた。


「はーな?」

「……なの」

「はぃ?何?聞こえない」

「…先輩が、来るの!」

「え?誰?」

「…本多、先輩…」


その名前を聞いて、少し間を置いてから私は、「あぁ‥」と納得した。


はなの口にした本多先輩とは、フルネームを本多崇志(ほんだたかと)…と言って、2年の生徒会員だ。
何度か朝礼などで見掛けたことがあるから、人の顔と名前を覚えるのが苦手な私でも、ちゃんと頭に残っている。

そして、そんな本多先輩のことを入学式の頃から慕っているのが…はなだった。

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