クールなサイボーグ部長の素顔
だから、私は少し素直になってこの人に向き合ってみようと思った。
だって、いつでもこの人は私に真っ直ぐに言葉で、態度で気持ちを伝えてきてくれるから。

向き合えるだけの強さを私は持ちたいと思った。

「とりあえず、二人の時は部長じゃなくて名前で呼んで?」
「それは、難しいかと…」

濁して返すと

「少しずつで、いいよ。敬語も無くして名前で呼んでくれるのを待つから。俺、気は長いしね?」

クスッと笑う顔は、仕事の時にはないかっこよさ。
お酒を飲んでるわけじゃないのに、ドキドキして、きっと顔は赤くなってる。

「早く、俺に落ちてきて。俺に思う存分千波を愛させて?」

「もう少し、もう少し、気持ちも落ち着いて慣れるまで、待って…」

そう伝えると、破顔して

「どれだけでも待つよ。俺は千波が思う以上に千波が好きで仕方ないからね」

その笑顔に私は、頷くことでしか返せなかった。

そうして食事をして、その日はしっかり家まで送り届けてくれた。
明日も仕事だしね。

でも、私は今日の部長のいろんな言葉にいっぱいになってなかなか寝付けなかった。
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