クールなサイボーグ部長の素顔
「山野辺さん、俺が居ない間に千波に何がありました?教えてください」

とても真剣にこれ以上無いくらい鬼気迫る勢いで聞いた。

「いや、私も千波ちゃんに直接聞いたわけじゃないし、本人からちゃんと聞いた方が良いと思うわよ?」

タジタジとした珍しくはっきりしない態度で、そう返事を返される。

「聞き出したい本人と連絡がつかなくて困ってるんです。教えてください。俺が出張の間に千波に何かあったんですか?」

そう、俺も譲れない気持ちと焦りを滲ませて聞くと

「それでも、本人に聞くほうが良いと思うけれど?」

山野辺さんは渋った。
でも、俺も譲れず

「千波とすんなり話せそうに無いから、山野辺さんに聞いてるんじゃないですか」

そう返せば

「そうねぇ、多分だけど、千波ちゃん妊娠したんじゃないかしら?今週になってコーヒーも紅茶も、飲んでないし…」

山野辺さんの言葉に、俺も目が点になった。

「そして、履きなれたローパンプスで仕事をしていたわ。そんな千波ちゃんのちょっとした変化から、私が推測しただけよ?だから本人に聞きなさいね?」

そう言って、俺の腕をポンポンと叩くと山野辺さんは自席に戻って行った。

千波とは、一度しかないが、その時もしもと願って、勝手極まりないことをした自覚がある。
それでの子なら、俺の子だ。

俺は、千波と話すべく彼女の家へと急いだ。
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