クールなサイボーグ部長の素顔
「そうか、それなら俺のうちで好きなだけ飲ませてやろう。俺は宅飲み派でな、日本酒、焼酎、ワインにウィスキーなど揃ってるぞ?来るか?」

そう聞いてきた。

普段のシラフの私なら断って自宅に送ってもらっただろう。

しかし、この時の私は喋れても思考回路は立派な酔っぱらい。
しかも、振られてやさぐれてやけ酒していた所なのだ。
もはやしっかりした思考回路からは到底かけ離れていた。
なので、そこが実は手ぐすね引いて待ってる羊の皮かぶったオオカミさんの誘いとは全く思わず、まだまだ愚痴り足りなかった私は、その誘いにこう答えた。

「そんなにお酒が!!行きましゅ!!飲みましゅ!」

もはや、語尾が幼児化してる事にも本人気づかないくらいのぐでんぐでん振りなのだ。

それにクスッと笑った木島さんを見て、ぽやーんとしながらも綺麗な顔の人は無表情でも笑っても綺麗なんだなとか思っていた。

「それじゃあ、俺の家に行くぞ?シートベルトしたな?」
「はい!いきましょ!」

こうして、私は皆が恐れをなしてるサイボーグ課長の自宅にまんまと自らの足で踏み込んでしまった。

そこに待ち受けるものや出来事を全く考えずに。

ついた先は推しも押されぬ人気スポットにあるタワーマンションの一室だった。

夜景の綺麗な高層階。
眺めていると、声を掛けられた。
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