クールなサイボーグ部長の素顔
「それで、千波が、話したかった事はなんだ?」

そう、問われて意を決して話すことにした。

「あの、びっくりすると思うんだけれど…」

そう、前置きをすると

「うん?」

優しい笑みとその瞳に私はグッと手を握ったあと、しっかりと和臣さんを見つめて告げた。

「妊娠したの…。和臣さんとの赤ちゃんが居るの…。私、産みたいの!」

そう、思いの丈を込めて告げる。
すると、抱きしめてくれていた腕にギュッと力がこもり、私の肩に和臣さんの頭が乗っかる。

「千波、嬉しい。産みたいって思ってくれて、そう伝えてくれてありがとう…」

そう言うと顔を上げて、私の頬にも手を添えて目線を合わせる。

「千波、ありがとう。ごめんな、妊娠に気づいた時びっつりしたんじゃないか?でも、俺どうしても千波が欲しくてあの時避妊しなかった。どうなるか分からなくても、こうなって欲しいって想いがあった。卑怯で千波の意思を聞かなかった事は謝る。でも、俺は望んでたんだ。俺と千波を繋ぐ生命が宿る奇跡を…」

そう言う和臣さんの顔は真剣で、それは和臣さんの本心である事が窺えた。

「同意の上での事で和臣さんだけのせいじゃないでしょ?私、病院でこの子の心音を聞いた時にすんなり決められたの、絶対に産むって。たとえ一人でも産むって。でも、出来れば和臣さんと一緒がいいし、喜んでくれたら良いなとは思ってたの…」

そう、私も感じた事を素直に伝えた。




< 50 / 72 >

この作品をシェア

pagetop