初恋の物語
(佐藤 翼)
佐藤翼は携帯の着信音で目を覚ました。
時間を見るとまだ朝の七時で、携帯には清水絵見と表示されていた。
実は一昨日の帰りに連絡先を交換していた。
「こんな朝っぱらからなんの用だよ」
「今日あの二人がデートする日でしょ。楓が心配だからあんたもついてきてよ」
「なんで俺が」めんどくさそうに返事を返すと、
「あんた創太君の友達でしょ。友達ならあんたも心配してあげなよ。とにかく八時半に駅前集合ね。ちゃんきてよ」
と言って、一方的に電話を切った。
めんどくさい、そう思わずにはいられなかった。
俺にとって創太は幼馴染で親友だ。創太が間違った道に進んでいたら必死になって止める。
だけど創太が誰と付き合ってどうなろうがそれは俺の知ったことではない。
まあ正直あんな綺麗な子と付き合える創太がすこし羨ましいが。
急いで準備をしてなんとか駅前に八時半ギリギリ間に合った。
そこには先に絵見が来ていて、俺を見るなり、
「遅い! あの二人が来ちゃうじゃん」
「遅れてないだろ、ちゃんと八時半にはついた」
俺が言い返すと、
「もっと早く来てよ」
と怒られた。
なんてわがままな女だ。
そう思い絵見を改めてみると、彼女も楓ほどにはないにせよ美人だということに気がついた。
スタイルもいいので喋らなかったらほぼ完璧だなと思っていると、
「あんまりジロジロこっち見ないでよ」
と言われた。
やっぱりぜんぜん可愛くない。
三十分ほど待っていると駅から創太と楓が出てきた。
まだお互いぎこちないが見た感じなんとかうまくやっているようだ。
「ほら大丈夫だろ? 俺はもう帰るぞ」
「まだ来たばっかりじゃん。今から一日中尾行するの」
「おまえ趣味悪いな」
「うるさい。私は楓が心配なの、あの子見た目よりずっと頼りないから」
絵見はほんとに心配そうだ。
「おまえはあの子のおかんか」
とツッコミを入れたがきれいに無視され、スタスタと歩いて行った。
そのあと創太と楓を追って映画見て駅街を歩いた。
絵見は途中から尾行のことは忘れてショッピングを楽しんでいた。
いつの間にか夕方になっていたので解散することにした。
「今日はありがとう」
「別に俺はなんもしてないよ。それと、創太はいい奴だから信用してやってくれ」
「わかった、信用する。あとさ……」
絵見が少し言いにくいそうに言葉を濁した。
「なに?」
「もしよかったらまた買い物に付き合ってくれない。今度は尾行じゃなくて普通に」
絵見は恥ずかしそうに言った。
「別におれはかまわないけど」
「ほんと? 約束ね」
笑った絵見は少しだけ可愛いと思った。
時間を見るとまだ朝の七時で、携帯には清水絵見と表示されていた。
実は一昨日の帰りに連絡先を交換していた。
「こんな朝っぱらからなんの用だよ」
「今日あの二人がデートする日でしょ。楓が心配だからあんたもついてきてよ」
「なんで俺が」めんどくさそうに返事を返すと、
「あんた創太君の友達でしょ。友達ならあんたも心配してあげなよ。とにかく八時半に駅前集合ね。ちゃんきてよ」
と言って、一方的に電話を切った。
めんどくさい、そう思わずにはいられなかった。
俺にとって創太は幼馴染で親友だ。創太が間違った道に進んでいたら必死になって止める。
だけど創太が誰と付き合ってどうなろうがそれは俺の知ったことではない。
まあ正直あんな綺麗な子と付き合える創太がすこし羨ましいが。
急いで準備をしてなんとか駅前に八時半ギリギリ間に合った。
そこには先に絵見が来ていて、俺を見るなり、
「遅い! あの二人が来ちゃうじゃん」
「遅れてないだろ、ちゃんと八時半にはついた」
俺が言い返すと、
「もっと早く来てよ」
と怒られた。
なんてわがままな女だ。
そう思い絵見を改めてみると、彼女も楓ほどにはないにせよ美人だということに気がついた。
スタイルもいいので喋らなかったらほぼ完璧だなと思っていると、
「あんまりジロジロこっち見ないでよ」
と言われた。
やっぱりぜんぜん可愛くない。
三十分ほど待っていると駅から創太と楓が出てきた。
まだお互いぎこちないが見た感じなんとかうまくやっているようだ。
「ほら大丈夫だろ? 俺はもう帰るぞ」
「まだ来たばっかりじゃん。今から一日中尾行するの」
「おまえ趣味悪いな」
「うるさい。私は楓が心配なの、あの子見た目よりずっと頼りないから」
絵見はほんとに心配そうだ。
「おまえはあの子のおかんか」
とツッコミを入れたがきれいに無視され、スタスタと歩いて行った。
そのあと創太と楓を追って映画見て駅街を歩いた。
絵見は途中から尾行のことは忘れてショッピングを楽しんでいた。
いつの間にか夕方になっていたので解散することにした。
「今日はありがとう」
「別に俺はなんもしてないよ。それと、創太はいい奴だから信用してやってくれ」
「わかった、信用する。あとさ……」
絵見が少し言いにくいそうに言葉を濁した。
「なに?」
「もしよかったらまた買い物に付き合ってくれない。今度は尾行じゃなくて普通に」
絵見は恥ずかしそうに言った。
「別におれはかまわないけど」
「ほんと? 約束ね」
笑った絵見は少しだけ可愛いと思った。