ブレイン・ハイジャック【ゾンビホラー】
「なんか変だ」

 一口の声に彼女は体を強ばらせた。

 とにかく状況を確認しようと、俺たちは聞き耳を立てた──。その間にも、ざわざわと鳥肌が立ち、例の感覚が体中を支配していく。

 そうだ。これは、注がれるゾンビの目。虫の視線を俺たちはひしひしと感じていた。

「なんで……?」

 今にも泣きそうな彼女の声に、俺は安心させようと肩を掴んでさする。

 暗さに慣れてきた目に、立ち上がっている影を幾つも捉える。こんな暗闇で、何をするでもなく立っている。

 気持ち悪さが限界に達したとき、体育館の電灯がONになる。

「なんだよこれ!?」

「ゾンビだ!」

「なんで入ってきてるんだ!?」

「キャー!?」

 明かりと声に、みんなは飛び起きる。
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