ブレイン・ハイジャック【ゾンビホラー】
「そうか。階段を上るのは苦労しそうだ」

「雨が降ったらとにかく、上にいけばいいのね」

「うん。そうしよう」

 今ほどモリスがいて良かったと思うことはない。

 充電を済ませた俺たちは、使えそうなものを集めて別のリュックに詰め込んだ。

 それを一口に持たせて休憩所から出る。

 ふと、一人で彷徨いているゾンビを目にした。

 俺は休憩所で見つけた金属バットを見下ろし、意を決してゾンビに近づく。

「お、おい」

「やってやるさ」

 狙うのは頭だ。殴るだけじゃあだめだ。

 破壊しなきゃ。

 ごくりと生唾を飲み込み、狙いを定める。

 ゾンビは両手を前に出し、俺を掴もうとしている。

「俺は──生きるんだ!」

 力の限りにバットを振った。
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