ブレイン・ハイジャック【ゾンビホラー】

 ──深夜

「んっ。──んん」

 夜の番をしている俺は、うなされている早苗を見下ろした。

 悪夢でも見ているのだろうか。

 奴らは火を怖がる。そのため、工務店でアウトドア用品をしこたま詰め込んできた。

 いわば、俺たちの命綱でもある。

 雨が降らないと頭から出られない虫どもも、さすがに水中は無理なんだろう。

 海や川で釣りをして魚には寄生していないことが解った。

 先日には、

「なあ。あれ、食べられないかな」

「あれが本当の牛でもさばけねえよ」

 牧場で放牧されている牛につぶやいた一口に顔をしかめる。

「オレがさばけるのはウサギまでだ」

 モリスのそれも凄いとは思うが、牛をさばける奴がこの中にいる訳がない。

 食べたい気持ちは痛いほど解るがあれは無理だ。
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