ブレイン・ハイジャック【ゾンビホラー】
──俺たちはここぞとばかりに、関係者入り口から球場の中に入っていく。
ホームやアウェーの選手の控え室に感嘆の声を上げ、ロッカーを開けたりシャワー室を見て回る。
手入れのされなくなったグラウンドに足を踏み入れ、選手が見ている景色に感動し大勢の観客から押し寄せる歓声を想像する。
「やばいぞ」
モリスの声に振り返ると、ゾンビが続々と集まってきていた。
「え? なんで?」
一口も意味がわからず、手に持っている金属バットを構えた。
俺もバールを握りしめる。
モリスはショットガンを手にして銃口を一番近いゾンビに向けた。
引鉄を絞りかけたとき、
「我々の勝ちだ」
無表情に応えた早苗に、俺たちは何が起こったのか直ぐには解らなかった。