ブレイン・ハイジャック【ゾンビホラー】
 もう一つは、血の臭いに引かれている節が見受けられた。

 それも、少しの量じゃない。

 まさに流れるほどの大量の血液だ。

 鼻が利くのか、あるいは他の方法で寄ってくるのかは解らない。

 最も安心したのは、噛まれてもゾンビにはならないことだ。

 ウイルスによるものじゃないことがこれで解った。

 だけれど感染ではないとしたら、この広がりはなんなんだろう。

 そして、ウイルスじゃないとすれば、これ以上の広がりはないということなのだろうか。

「おい。あれ」

 一口の声に、指さす方を見る。遠くに見えるのは煙だろうか。

「あっちは確か」

 線路がある。もしや、電車が脱線して何かにぶつかったのだろうか。

 正直、今の状況ではもしそんなことが起こっていたとしても、その音を聞き取れていたか疑問なのだ。
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