ブレイン・ハイジャック【ゾンビホラー】
「知るものか」

 早苗の声なのに早苗じゃない。

 どこか、くぐもった声が俺たちを見下している。

「どういうことだよ」

「そういうものかもしれない」

「なんでだよ」

 応えた一口に目を向ける。

「俺たちだって、なんでここにいるのか解ってる?」

「そう言われりゃあ、確かに」

 そこに何故いるのかなんて、造物主がいたらの話だが造物主にでも聞かなければわからない。

 もしこいつらが人工的なものならば、その造物主はこいつらに何も説明はしなかったんだろう。

「生物が絶滅してしまえば我々も死滅する。それだけは、なんとしても避けなければ」

 そう言って女王は俺たちを見据えた。

「虫の女王はずっと立売堀(いたちぼり)さんの頭の中にいて、彼女の脳を完全支配したってことだよね?」

「おそらくな」

 一口(いもあらい)の要約に異論はない。
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