ブレイン・ハイジャック【ゾンビホラー】
 おいやめろ。泣く場面で吹き出しちまったじゃねえか。固まったモリスの笑みに涙をこぼし、開いたままのまぶたを降ろす。

 そして、横たわってぴくりとも動かない早苗の体を見下ろす一口の隣に立つ。

「こんな間近に、ラスボスいたんだね」

「これからもっと忙しくなるぞ」

 呆然とする一口の肩を叩いた。

「駆除しなきゃね」

 指示の糸が切れたせいか、ゾンビどもはまるで動かない。

 またすぐに動き出すだろうと距離を取る。

「蟻とか蜂だと、どうなるんだっけ?」

「新しい女王ができる」

「じゃあ、頑張ろう」

 女王が死んだいま、こいつらはもう増えない。

 俺たちはこいつらを根絶やしにするまで止まることはない。

 そして、新たな女王が生まれたときは、そいつを見つけ出してぶっ殺す。

「絶対に諦めるかよ!」

「当たり前だろ!」

 迫り来るゾンビに俺たちは突進した──




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