【短編】あなたとの距離、近くて遠い
「あの、携帯充電したいんですけど。延長コードってありますか?」
ひらめいた頭で、私は久保田さんに聞いた。
「…あ、はい。今持ってきますね」
ニコっと笑い、私の方を見た。
やばい。なんだ、この笑顔は言葉にならない。私はこの思いを隠すように、私は返事をした。
「お願いします」
パタッと扉を閉めて、久保田さんは出ていた。数分間、扉の方を見ていた。
この気持ち、なんだろう。分からない。でも、分かるのは、久保田さんに好意があること。
「…うん。そうだ」
私はまた一人で何かを納得するように言葉にしていた。
誰もいない大部屋で私は久保田さんのことを考えていた。受験勉強をしなければならないのに、そんなことどうでもよくなっていた。
私は、ベットに横になった。目を開けて、天井を見つめた。
なぜか、私はさっきよりも明るい気持ちになっていた気がした。
両手で上をあげて、天井を見つめて、誰かに願った。