【短編】あなたとの距離、近くて遠い

また、久保田さんに会えますようにと。まぁ、会えるんだけどね。

 30分後

「…これですよね。持ってきましたよ」

 久保田さんは、ガラッと扉を開けて、私にコードを上にあげてニコッと笑っていた。
「…あ、ありがとうございます」

 その姿に私はドキッとしながらも、何もない素振りで返事をした。

「…はい。後何かあれば呼んでくださいね」
 そう言ってから私に言い、足早と去っていた。

 仕事、忙しそうだな。さっきの言葉、患者みんなに言っている言葉だって分かるけど。

 なんか、私だけに言われている錯覚を起こしてしまう。

 これは、なんだろう。今まで感じたことのない感情。
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