レヴィオルストーリー2
その場の空気が凍てつくようだった。
それほどまでに、アレンは怒っている。
「ご、ごめんなさい、忘れてました…」
謝る立場に一転してしまったイルが恐る恐るアレンに言う。
アレンは美しい碧の瞳を氷のように鋭くし、その視線でイルを射抜いた。
「…クナイはあったのか」
「あ、あったけど、まだ…」
「リルム、イルに返せ。それはイルの大事な物だ」
何でわかったの?!と言う疑問を口に出せる訳もなく、リルムはコクコク頷いてイルにそれを返した。
「いいか、地下は絶対に入るな。刺し殺されたくなかったらな」
恐ろしい言葉を吐いたアレンは視線を少し上にあげた。
何十枚もの肖像画の中で、比較的新しいある一枚を見つめる。
「…あと、今日また騒いだら容赦なくしばくから」
ゆっくり目を閉じてからそう言うと、アレンは部屋を立ち去った。