レヴィオルストーリー2
アレンが目を見開く。
その頬には新たな赤い筋ができていた。
そして、飛んできたそれはマケドニスからやや左の後ろの壁に突き刺さる。
ギルク、イル、マケドニスの三人は全員、それが刺さった壁を見て絶句した。
「…短剣…??」
壁にその剣先をめり込ませているのは、まさにそれ。
綺麗にスッパリと固い白い壁に切り込みを入れている。
次に三人は短剣が飛んできた、開いた扉の奥に目を移した。
しかし、誰もいないし何もない。
「今の…?」
イルが扉の奥、つまり廊下を睨みながら首を傾げた。
「…アレン様!」
マケドニスは頬に怪我したアレンに駆け寄る。
ギルクもハッとして目の前の彼を見下ろした。
「…アレン、大丈夫か!?」
イルと同じく廊下を睨むアレンは答えない。
その代わりに自身の手の甲で微かに流れた血を拭った。