レヴィオルストーリー2
「……え?」
教皇が笑みを消した。
その横の側近も、アレンの側近も驚いている。
「…母さんは…もういません。ずっと、前から。」
アレンは紅茶を見たまま教皇と目を合わせようとはしなかった。
自分から母の話をするなんてはじめてで。
心の中では少し、戸惑っていた。
しばらくの沈黙の後、教皇は掠れた声を出した。
「…ナティアは…亡くなった?」
「…はい」
アレンは目を伏せて静かに諭す。
「嘘でしょう。あの子にはあの魔力だってある。病気でしたの?」
「いいえ」
「じゃあどうして?」
悲痛な声に、どれだけ母を大切にしていたかが手に取るようにわかる。
アレンはその問いに一瞬だけ表情を変えた。
「…魔王に殺されました。俺を…、庇って。」
カップの中の紅茶が微かに揺れた。