レヴィオルストーリー2
教皇はさっきまでとは打って変わって、絶望をその表情に滲ませる。
隣の側近もナティアを知っているらしく、涙目になっていた。
「…じゃあ…、あの子は…。ナティアは、もう、いない…?」
教皇はすがるような目でアレンを見る。
白い瞳に見つめられ、アレンは声も出せずに頷いた。
教皇は静かに泣き出した。
側近と身を寄せ合って。
アレンとマケドニスは無言でその場にただずむ。
去った方がいいのか、いた方がいいのか。
二人にはわからなかった。
「…アレン様」
不意にマケドニスが話しかけてきた。
アレンは横の彼を見上げる。
「…9年前、ですか?」
「…うん。マケドニスはその頃はカルアシティにはいなかったもんな。」
アレンは紅茶を一口飲んで答えた。
「…はい。引っ越して、サリアンシティにいて。何年か経ってまた戻りましたが…、聞いたこともありません。」
「…そりゃそうだろうな。」
ルナス街長は、そのことは隠したがったから。
彼はアレンの前でしかそのことは話さなかった。
それはアレンにとっては有り難かったが。