レヴィオルストーリー2
「馬車はいらない。移動魔法で行くから」
準備を終えたアレンがマケドニスに言う。
「はい、誰が魔法をしますか?そんなに強い魔力の人は…クナルさんと…」
「俺」
「え?」
マケドニスはアレンを見た。
アレンは首筋に手を宛てて何かを囁く。
すると黄金に輝く魔方陣が現れた。
「こっちは頼んだからな」
「はい、…魔力あったんですか?」
「…まぁな。勇者になってからは使ってなかったから。こんな緊急事態半年間なかったし…」
「レイ様の緊急事態、ですか」
マケドニスは穏やかに微笑んだ。
アレンは微かに頬を赤らめ…
「うるさいな馬鹿」
子供みたいに拗ねて言うと、魔法を発動させてマケドニスの前から消えた。
「レイ様は愛されてますね」
マケドニスが微笑んだまま踵を返すと、シルラと手を繋いだルルアンと、大人しくおすわりしているルルがいた。
「…………………」
シルラと目が合う。
彼女は無言で何かを訴えていた。
マケドニスが意味がわからず首を傾げると、ルルアンが口を開いた。
「アレン行っちゃったの?」
「…?うん、行っちゃったよ」
「じゃあマケドニスさんも、シルラさんと僕とルルと一緒に遊ぼう!!」
「…は!?」
手を叩いて喜ぶルルアンにマケドニスはビックリして、またシルラを見る。
シルラは困ったように苦笑いしていた。
「………そういうことか」
さっきの彼女の訴えの意味をようやく理解したマケドニスは大きく溜め息をついた。