レヴィオルストーリー2
21.ゼウスの血族
「…お目覚めかい?」
軽いへらついた男の声で、レイの夢は途切れた。
レイはぱちぱち瞬きして、目の前の自分を覗き込む男の顔を直視する。
そして。
「……きゃああぁあぁあぁ!?」
あと数ミリでくっつくぐらい近くにあった男の顔を、思い切りぶん殴った。
───ぶん殴った、筈だった。
しかし、腕が動かない。
「……え?…あ!」
自分が拘束された状態なのを見ると、レイはようやくさっきのことを思い出した。
この目の前にいるへらついたムカつく男に、気絶させられたのだ。
「…ちょっと、何よこれ…!離して!あんた誰よっ!」
レイは柱にくくりつけられた状態から抜け出そうと、暴れながら男を睨んだ。
男は相変わらずへらへらして、ムカつくことこの上ない。
「俺?俺はクウェンナってんだ。まぁ、覚えといて。あ、それ暴れても無駄だから。魔法もかかってるしね」
男、クウェンナはそう言うと、レイをジロジロ観察しだした。