レヴィオルストーリー2



「…………よかった……」



そう呟いた時のアレンの表情は、さっきまでの彼とは比べ物にならないくらい柔らかく優しい、穏やかなものだった。


薄い上着を脱ぎレイにかけてやると、アレンは再びブエノルに視線を戻す。



初老の男はアレンと目が合い、地面に横たわったまま情けない悲鳴をあげた。




「………今すぐ目の前から消え失せろ」


これ以上彼を見ているとまた何かしてしまいそうで、アレンは目を伏せ低く言った。


だが消え失せろと言われても、周りは太い氷柱に囲まれ抜け出そうにも抜け出せない。


ブエノルは何とか起き上がるが、途方に暮れて縮こまってしまった。




「…早く!」


動かないブエノルにイライラして、アレンが怒鳴る。

情けなくも大人のブエノルは震え上がって更に縮こまると、恐る恐る口を開いた。



「…だが、これでは出れない…。氷柱を消してくれ」



弱々しいその言葉で、アレンははじめて自分達を囲む氷柱に気付いた。


周りを見回し、目を丸くする。





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