レヴィオルストーリー2
「…ま、待って、無理……」
急かされて更に焦ったアレンは、真っ青になって冷や汗をかいていた。
ドクンドクン、と心臓の音が嫌に大きく聞こえる。
────不意に、その心臓が違う動きをした。
ギュッと掴まれるような痛みが込み上げ、それと同時に全身にジワリと嫌な感覚が走る。
「――……ッ!?」
今までにない初めての感覚に、ビクリと震えたアレンは胸を押さえて表情を強張らせた。
すると、氷柱の生まれるスピードが倍近くに跳ね上がる。
「…アレン様!?」
異変に気付き、マケドニスがアレンの名をまた叫んだ。
しかしアレンはそっちを向く余裕もない。
「……ぃ、痛…ッ」
心臓が脈打つ度に襲い来る痛みと感覚に、呼吸が荒く不規則になっていった。
「…アレン!ヤバい。止めなきゃ!」
「お、おいイル。何がやべぇんだよ?」
一方氷の壁の外では、ひたすら慌てて叫ぶイルに、ギルクが訳がわからないといった様子で必死に訊ねていた。
イルはキッとギルクを睨むと、何故か怒鳴り付ける。