レヴィオルストーリー2
28.クウェン兄
「………え。何だ?アレン様??」
────状況がよくわからない。
マケドニスはとりあえず主人の名を呼ぶ。
「………………………。」
…が、やはり返事はない。
マケドニスはパニックに陥った。
「えっ、待てよ。今確かにアレン様が言うように氷を砕いて、…ていうか城の庭園にいたのに…」
ブツブツ呟き怪しいマケドニス。
悩みに悩んだ挙げ句。
「………まさかあの光で移動させられた?」
アレンの意思とは関係なく、だが。
移動魔法を浴びたのかな、と結論付けた。
「…参ったな。俺は魔法を使えないのに…」
と、藍色の髪を掻き困り果てたマケドニスが突っ立っていると、彼のいるすぐそばの家の扉が開いた。
ハッと振り返ると、小さな男の子が一人で出てきて中にいる女性に手を振っていた。
…ごく普通の光景、なのだが。
その男の子の髪色──黒色か灰色かよくわからない、曖昧な色──がマケドニスの目を釘付けにした。
「…アレン様?」