レヴィオルストーリー2



 シュッ……




刃物が風を切り、音を生む。



固まって見ていたマケドニスは、ハッと目を見張った。




その直後、



『――…ッぅぁあ!』



小さな子供の悲痛な叫び。



ポタリ、ポタリと血の滴る、何とも不気味な音がする。





アレンはガッチリ押さえられた腕を切りつけられていた。






『ほら、痛いだろ。さっさと言え。お前の母親を殺したのは誰だ』


『…知らないって何回も言った!離せ…っ』



そう言ってもがくアレンだが、自分より大きい男の力には勝てない。



暴れて暴れて、殴られて。



最後にはぐったりと床に伏してしまった。





『…またいつもと同じか。また来るよ、アレン君』


その言葉にアレンは顔も上げずに呟く。


『…来るな…。何でこんなことするんだよ。母さん殺した奴知ってどうしようって言うんだ…』


『…さぁ。』




ニヤッと笑った男は周りの5人に合図すると、直ぐ様その場を去ろうとした。



いつもはそのまま去れるのだろう。



───だが、その日は違った。






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