レヴィオルストーリー2
「………叫んでどうするってんだ」
呆れたような声で溢したクウェンナに、緊張と焦りで下を向いていたブエノルは顔をあげた。
目の前の彼はグレーの瞳を細めて、考えに耽っている。
「……さぁ。それでも、そうするしかなかったのではないか?」
あの時の三人の悲痛な叫びを思い出し、ブエノルは少し切なくなってきた。
そんな彼に人差し指を突き付けたまま、クウェンナは次は質問ではなく命令をする。
その内容に、初老の男は目を見開いて驚いた。
「…いいか。アレンが生きてたとしたら、あいつが元気にならない内にまた何か仕掛けるんだ。」
────しばらく沈黙が二人の間に流れる。
そしてやっと、ブエノルが口を開いて言葉を発した。
「…また、仕掛ける?何をだ。もうすることはない…。我が国の完敗だ。
兵士だってあの戦いで傷付いているのだぞ??」
信じられないといった様子の首相に、クウェンナはにこりと笑顔を向けた。
だが独特なグレーの瞳は、全く笑っていない。