レヴィオルストーリー2
31.悲劇
世界ファンリュジョンの西の大陸、ウェンスト大陸。
そこを丸々占領するレヴィオル国勇者の城で、国一番腕がいいと言われる医療チームは、この数日間かなりハードに働いていた。
三日前のダルヌク国からの襲撃で怪我をした人達を治療する為だ。
バタバタと白衣を来た人達が城内を走り回る中、城の二階だけは静かだった。
特別に仕切られた五つの部屋は、全て医療チームに割り当てられている。
────集中治療室、と称されて。
「……あら、レイちゃん。まだいたの?」
集中治療室の中でも特別に重要視される『第一集中治療室』から出てきた、医療チーム最高責任者のクナル。
彼女は治療室の廊下のソファーに踞るレイを見て、驚いたように声をかけた。
「…あ、クナルさん。」
半寝だった金髪の美少女はハッと顔をあげる。
クナルは彼女の真っ赤に腫れた目を見て、少し胸を痛めた。
労るようにストレートの髪を撫でてやり、その綺麗で可愛らしい顔を覗き込む。