レヴィオルストーリー2

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

レイとイルが悲鳴を聞く、少し前。



ルシアンは他の医師達に休んでいいから、と言って一人アレンのいる治療室にいた。


椅子に座り、ジッと眠るアレンを見るその目はどこか────危険な光を帯びている。






「…アレン様」


返事をしないのはわかりきっているのに、声をかけた。


もちろんアレンは何も言わない。


眠っているのだから当然だ。





「…暢気ですね本当に。」


そう言うと口元に怪しい笑みを浮かべ、ルシアンは立ち上がった。


道具が並んだ白い壁から、一番大きいメスを取る。



そしてそれを握ったまま、アレンに歩み寄った。







「…知っていますかアレン様?スパイはロレスウェルやモスウェルだけじゃないんですよ。」



コツッ、コツッ…と、靴の音が静かなその部屋に響く。



「先日、首相から命令がありました。貴方が起きない内に、何か仕掛けろと。」


 コツッ、コツッ………



「ずいぶん変な言い方でした。殺すのは駄目みたいな…。」




 カツン!





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