レヴィオルストーリー2

一際大きな音をたて、ルシアンはアレンの傍に立ち止まった。




この城の、この国の、一番の権力者。



そして今までの“殺し屋”人生で一番の獲物。






その彼の酸素マスクを外して、整った美形の顔をじっくり見下ろす。











「…綺麗。殺りがいありそうなのに眠ってるなんて」













呟き、ルシアンはメスを握った右手に力をこめた。



ゆっくり上に上げて慎重に狙いを定める。





「貴方は人を信じすぎです。汚い者なんてごまんといるのに。

無関心なフリして、実は気にかけてる。だからバレそうで冷や汗モノでしたよ」







でももうさようなら。










ルシアンはニヤッと笑って、アレンの心臓目掛け思い切りメスを振り下ろした。





ブンッと空を切る音が自分の動かす腕から聞こえ、彼女は満足そうに目を細める。






しかし──────……













「…ッ駄目!」











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