レヴィオルストーリー2
32.失くした記憶
「…………………。」
アレンは無言でそれらを見つめた。
血だらけで、自分の知っている女性二人が。
血。
血の海。
血の匂い。
……白い床に広がる、紅。
「………な、にが…??」
アレンの眠っていた寝台は治療室のど真ん中。
目の前に広がる紅い光景を、アレンは直に見てしまった。
白に反する紅。
血の海に踞る大人。
愕然として、目を離せずにいると。
不意に、いつかの記憶と重なった。
白い床に広がる紅い血も、
そこに大人が踞って死んでいるのも、
あの日と同じ。
──────あの日。