レヴィオルストーリー2

「はい、どーぞアレン。」


イルが杖の先の灯りを扉に近付け、アレンに呼び掛けた。


地下牢の入り口のこの扉は、勇者とその側近しか開き方を知らないのだ。



「…ありがとう」


一言礼を言うと、アレンは扉の豪華な装飾に手を宛てる。



しばらく探るように細い指先を滑らした後、ピタッと動きを止め装飾の一部分をグッと押した。



直後、ゴゴゴゴゴと地響きの様な音を鳴らし、扉がゆっくり開いていく。




人一人が入れる程度に開くと、扉はそれ以上隙間を広げるのをやめた。




「……いつ見ても凄いわね」


レイが感嘆の声を溢した。

イルもうんうん頷いてギルクにへばりついている。



「……どこらへんにいるんだ?」


扉に手をつきながら振り返ったアレンが少し首を傾げて訊いた。


「結構手前の方。あの二人しか入ってないからな」

「…そういえば何でロレスウェル達は帰さなかったんだよ」

「色々聞かなきゃいけないことがあるでしょう?」


レイがそう言ったが、アレンはあまり納得していない様子。


彼はここを使うのが嫌いらしい。



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